ニャート

パニック障害で退職→ひきこもり→非正規雇用の氷河期世代。だめ人間が何とか日常を投げずに生きていくためのメモ書き。

恋人の「デメリット」をどう受けとめるか

Eテレ「美輪明宏 愛のモヤモヤ相談室」2月版で、結婚経験がなく子どももなし、去年恋人と別れて深い孤独を感じている50代女性の人生相談をやっていた。

女性が9年つきあった男性と別れたのは、つきあって3年目に、男性が泣きながら「30万円貸してほしい」と頼んできたとき、女性が断ったのをきっかけに、話がかみ合わなくなったから。

借金の理由は、学生時代の奨学金と生活費。女性はその後、あげるつもりで「10万円ならいいです」と伝えてはいるが、男性は結局、女性からお金を借りなかった。

(とはいえ、その後6年つきあっているので、最終的な理由は、女性が生涯のパートナーを望んでいたのに対し、男性は恋人以上は望まないと考えていたから。しかし、男性がそう考えた理由として、借金を断られた影響は大きいのでは)

この女性への、美輪氏の回答が厳しめなのが印象的だった。

(要約)
愛情が全然ない。人としての愛情があれば、自分にできることはやってあげるもの。自分を守ることだけしか考えていない。自分の意思、自分の生涯、生活のしかたとか自分のことばかり。あなたにぴったり合う人は一生現れない。

美輪氏は、愛とは与える愛情であると定義し、ふたりが別れたのは女性に原因がある、恋人への深い愛情を持てないなら、独りで生きていく覚悟が必要と語っていた。

悩みの主因である「孤独」については、情緒的な文化(趣味)をもてば悩む暇はなくなる、そこで仲間もできると回答していた。

番組最後のメッセージは下記。

あなたの鋳型に合わせて作られた人はいません。
理想に合わないのは当たり前です。

エピソード - 美輪明宏 愛のモヤモヤ相談室 - NHK

恋人のデメリットを受け入れられない人が増えている

よく考えると、美輪氏は「愛とは与える愛情である」と、当たり前のことしか言っていない。

なのに、私がその回答を新鮮に思ったのは、近年は、友人や恋人にgive-and-takeを求め、デメリットが多い人とはつきあわない(つきあっても気づいた時点で別れる)ことを推奨されているように思えるからだ。

この件も、相談する相手によっては「恋人から金を借りようとする男など即別れた方がいい」という答えが返ってくるだろう。いや、そちらの方が主流ではないか。

どの記事か思い出せないが、発達障害の人が結婚したいという記事で、「発達障害のデメリットを上回るメリットを提示できないと結婚は難しい」という主旨のコメントが人気を集めていた。

ADHDっぽいところがあって、今年は診断を受けようかと思っている私は、絶望した覚えがある。

ADHDでないにしても、金もなく仕事もなく若くもなく子どもも産めず美人でもなく家事もスペシャルに得意ではない私と結婚して、何のメリットがあるのか?

結婚相談所で婚活して婚約者と出会ったが、いまだ入籍していないのは、私が自らのデメリットを上回るメリットを相手に提示できていないからだと思っている(ただし、相手はそんなこと考えていない可能性もある)。

結婚には相手のすべてを受け入れる愛情が必要

私のことはさておき、結婚相談所での婚活は「相手と自分のメリットの等価交換」から入るように感じる。

結婚相談所では、データベースに登録された異性を条件検索してお見合いを申し込むシステムだ。

ひとつの例として、私が婚活した相談所では、40代・50代男性の8割が「子どもがほしい」、2割が「どちらでもよい」、「いらない」は1桁の人数だった。

40代を過ぎても、子どもがほしい気持ちは自由だし否定しない。

しかし、「子どもが産める」という条件から入ると、仮に20代〜30代女性と結婚できても、相手が不妊だったらその「デメリット」を乗りこえられないだろう。

また、妊娠が難しい同年代の女性を「デメリットがある」と軽視し、出会いの可能性が広がらない。

コスパ・タイパの考え方が人間関係にも及んでいるが、生身の人間相手にパフォーマンスを求めすぎて、いざ壁にぶつかったときにどうしたらよいか、については考えられていないように思える。

1度離婚した身から反省するに、相手や姻族が自分を傷つける(身体・精神)、悪質な犯罪や不倫「以外」のトラブルは、簡単に離婚せずに1度は乗り越える努力が必要なのかも。

たとえば、相手が真面目に働いていたのにリストラされたなら、頑張って支えるべきだ。しかし、のらりくらりと働かずヒモになり、借金を申し込んでくる相手はどうだろう。

相手にメリットを求める考え方は、誠意のない相手から食い物にされない予防法でもある。

相手に誠意があるか、見極めるのは難しすぎるから、あやしく思えたらすぐ切り捨てることが推奨されているのかもしれない。

自分のこととして考えるに、私にはデメリットが多いが、克服する姿勢と誠意を見せつつ、相手には「与える愛情」を心がけるのがよいのだろうか。1年半つきあっている歴史に感謝して。40歳こえたら、つきあってくれる人なんてそうはいないですよ。ああ、結婚って難しい。