パニック障害やうつ病になると、SSRIという種類の薬を飲むのが第一の治療と言われることが多い。
しかし、SSRIを飲みたくない人もかなり多いのではないかと思う。
SSRIを飲みたくない理由
- 副作用がある(特に飲み始め)
- 効くまで1ヶ月くらいかかる
- 最低でも1年程度は飲む必要がある
SSRIを飲み始めた初期(特に2週間以内)に、吐き気などの副作用が出る理由は、薬によって増加するセロトニンに体が慣れていないため起こる症状といわれている。
だから、体が慣れてくる2週間後以降は、吐き気などもおさまることが多い。
しかし、飲み始めの初期はパニック障害自体の不安感だけでもつらいのに、そのうえSSRIの副作用への不安感が重なると、SSRIを信じきれずに途中で飲むのを挫折してしまったことが、私はある。
私のSSRI歴
パニック障害が何度か再発している私は、これまで4種類のSSRIを飲んだことがある。
SSRIの副作用や効果は人によって全く異なるため、あくまで私の場合について。
パキシル
28歳の発病時に飲んだ最初のSSRI。薬が効くまで1ヶ月くらいは、吐き気と不安で本当に辛かった。
しかし、それ以降は4種類の中で最もやる気が出て、副作用で太ることもなかった(むしろダイエットをする気持ちになって痩せた)。
でも、初期の副作用とやめるときの離脱症状が辛かったので、もう飲みたくない。
ジェイゾロフト
30代前半の再発時に1週間だけ試し、副作用で断念。
いま思えば乗り切れる程度の副作用だったが、当時はSSRIへの不信感があり、SSRIで治すという覚悟ができていなかった。
レクサプロ
30代後半の再発時に服薬。初期の副作用は、私は4種類のなかで最も軽く感じた。
パニック障害の不安感にはすごく効く気がする。ただし、良くも悪くも心に波風が立たない、悪い波(不安)が消えるだけでなく良い波(やる気や喜び)も消える。あと太る(個人差あり)。総合的には良い薬だった。
トリンテリックス
今回の再発時に飲んでいる薬。あとで詳しく書く。
それでもSSRIを飲む理由
30代前半の再発時には私は既婚だったので(今は独身)、SSRIへの不信感だけではなく、その後の妊娠を考えて、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬だけでパニック障害を治療しようとした。
しかし結局は、ベンゾジアゼピン系抗不安薬だけでは、私はパニック障害がおさまらなかった(個人差があるので、もちろんこれだけで治る人もいるだろう)。
薬にはメリットとデメリットがあって、メリット>デメリットなら飲む価値がある。
デメリット(副作用・長期間の服薬が必要)が大きくても、メリット(不安感がなくなり、電車に乗れるなど普通の社会活動ができる)がそれを上回るので、私はSSRIを飲むことにした。
たぶん、私もすごくあてはまるのだが、薬についてあれこれ調べて不安になる人よりも、何も考えずに飲む人のほうが早く治るのだろうなあと思う。
だけど、考えなくてよいことを考えすぎてしまう私のようなタイプだから、パニック障害になるのだろうなあとも思う。
トリンテリックスの感想と副作用(半錠の場合)
トリンテリックスは、日本では2019年から販売されている新しいタイプの抗うつ薬で、正確にはSSRIではなくSSRI類似の薬となっている。
SSRIの中では最も副作用が少ないといわれているが、調べてみるとどうも人によるようだ。飲み始めの初期に、吐き気など消化器系の症状が出ることがあるらしい。
新しい薬だけあって、実際に飲んだ人の感想やブログが少ないので、あくまで私の場合はどうだったかを書いておく。
トリンテリックスは1錠10mgだが、私がかかっている精神科の先生は「飲み初めの副作用が心配だったら、半錠から始めてかまいませんよ」といってくれた。
なので、寝る前に4分の1錠(2.5mg)を4日、半錠(5mg)を10日から始めてみた。
結果は、4分の1錠でも胃が重く気持ち悪くなった。
吐き気どめのナウゼリン(これも副作用があるので違う種類がいいかも)を、1日1錠(5mg)同時に飲んでいたが、お昼頃には効き目が切れて気持ち悪くなったので、市販の胃薬を飲んでいた。
しかし、つらいほどの気持ち悪さは4〜5日でおさまった。
かわりに、10日目くらいから不安感が徐々に薄れてきて、副作用よりも薬の効果を多く感じるようになってきた。
医師によると、トリンテリックスは半錠でも効果が出る人はそれなりにいるらしい。
その後、4分の3錠(7.5mg)を1週間飲んで、1錠(10mg)を飲み始めたが、量を増やしたときに気持ち悪さは復活するが1〜2日程度でおさまった。
SSRIの副作用と効果は個人差が大きい
ここに書いたことはあくまで私の感想で、SSRIの副作用と効果は人によって大きく違う。
SSRIを飲もうか悩んでいる人は、自分にとってメリット>デメリットなら、飲み始め初期の副作用を耐えて飲むだけの価値はあると思う。
私みたいに、薬を水で流し込んだ後「あああ、もう吸収されてしまった、もう取り返しがつかない」などと大げさに悩んでしまう小心者には難しいのだけど、あまり神経質にならずに、効果が出るまで他のことを考えて、どっしりとした気持ちで待つぐらいのほうが病気にはよいのだろう。難しいけれど、自戒を込めて。