ニャート

パニック障害で退職→ひきこもり→非正規雇用の氷河期世代。だめ人間が何とか日常を投げずに生きていくためのメモ書き。

舛添都知事は、保育園・韓国人学校・特別支援学校のどれを優先すべきか

東京都が、韓国人学校増設のため、新宿区の都有地を韓国政府に貸し出す方針を固めた件で、都庁には3,000件超の批判が寄せられています。

この土地をめぐる経緯について調べてみました。

本来は、特別支援学校が建つ予定だった土地

舛添知事は、韓国人学校より中国人学校をつくれ!? – 東京都議会議員 やながせ裕文 オフィシャルサイトによると、この土地には、知的障害をもつ生徒向けの特別支援学校が建つ予定でした。

  • 平成21年3月 都立市ヶ谷商業高校が閉校となる
  • 平成22年11月 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画を策定
    →この計画のなかで当該地に、知的障害をもつ高校生を対象とした「市ヶ谷地区特別支援学校(仮称)」を平成31 年度に開校すると位置づける。
  • 平成26年7月 舛添知事が訪韓。朴大統領から「韓国人学校」用地確保の依頼を受ける。
  • 平成27年5月 東京都教育委員定例会で「特別支援学校」を当該地から別の場所に設置すると計画変更の報告

つまり、特別支援学校を建てることは、舛添氏が都知事になる前の2010年11月から決まっていたのです。

知的障害をもつ生徒はどれだけ増えているのか

ここで、知的障害をもつ生徒が、どのくらい増えているのかを見てみます。

東京都における障害のある生徒数の将来推計
データ:「東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画」より

知的障害をもつ生徒数は、2004年から2020年の間に、ほぼ2倍になると予想されています。

そのため東京都は、2004年から「東京都特別支援教育推進計画」を進めてきました。

「東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画」によると、2004~2010年に行った第一次・二次計画において、知的障害をもつ生徒を対象とする特別支援学校高等部職業学科(計5校)の設置を計画し、既に3校が開校しています(2校は準備中)。

さらに、現在行っている第三次計画(2011~2016年)では、1学年2~3学級程度の比較的小規模の同学校を、地域バランスに配慮して10校程度設置する予定です。

その結果、2020年には、知的障害児に対応できる特別支援学校の数は、下記のように増える予定です(オレンジの線)。

都立特別支援学校の配置予定数
データ:「東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画」より

今回問題になっている「市ヶ谷地区特別支援学校(仮称)」も、その10校の中に入っていました。

市ヶ谷地区特別支援学校(仮称)2013年:基本設計
2014年:基本設計・実施設計・工事
2015年:実施設計・工事
2016年:工事
2019年:開校予定

このように計画が立てられ、順調にいけば現在は工事中のはずでした。

ですが前述のように、2015年5月、東京都教育委員定例会で「特別支援学校は別の場所に設置する」と計画変更の報告がされます。

特別支援学校が建てられなかった理由

では、なぜ計画は変更されたのでしょうか?
「平成27年第8回東京都教育委員会定例会議事録」から、理由を引用します。

本地については、周囲の道路が狭あいということで、実際の設計に向けての調整に入ったところ、道路幅員が4メートル未満であること、近隣との調整が非常に困難であること、新宿区の拡幅事業を行う場合には相当期間の調整が必要だということ、更には、土地の面積が少なくて、立ち上がったところで延床面積もかなり少ないということもあり、調整が非常に困難であるという状況でした。

単純な疑問ですが、それは始めから分かっていたことではないのでしょうか。
そして、韓国学校を建てる上では、上記は問題にならないのでしょうか。

上記の理由で、特別支援学校は代替地に設置されることが決まりますが、代替地は遺跡調査が必要な場所なため、現時点ではいつ開校できるか分かっていません。

新宿区には、中野特別支援学校と王子特別支援学校がありますが、在籍者数の増加のため、新しい学校の設置が必要という需要があるにもかかわらずです。

計画変更後に、新宿区から都に、保育園設置のため土地取得の要望が出されていた

こうして、この土地への特別支援学校の設置はキャンセルされました。

その後、「新宿区は、この土地を取得して、保育園を設置するべき」という質疑応答が、2015年6月10日の新宿区議会でなされます。

(川村のりあき議員)旧市ヶ谷商業高校跡地はもっとも保育ニーズの高い牛込箪笥地域に位置し、保育園を設置する場所としては最適と考えます。また、牛込第一中学校に隣接し、将来的にも様々な活用ができる場所であり、区は直ちに東京都に対し取得の意向を示すべきと考えますがいかがでしょうか。

(吉住区長)現在、愛日小学校の仮校舎として使用している旧市ヶ谷商業高等学校跡地については、東京都にも打診していますが、平成29年3月まで区が借用しており、その後の活用については今後検討するので、現段階では要望を受けられないとの回答を得ています。

2015年第2回定例会 代表質問 | 日本共産党 新宿区議団

新宿区長は「以前から都に打診しているが、現段階では要望を受け入れられないと回答されている」と答えています。

ですが、それから間もない2015年夏には、韓国側が現地を視察しています。

都が朴大統領の要請を受け、候補地を探したところ、同校跡地が浮上。27年夏、韓国側が現地を視察し、「入学希望者が多く、学校増設のため、跡地を利用したい」との韓国政府の正式な文書が昨年11月に届いたという。

韓国政府に学校用地貸与へ 朴大統領要請 都「全力で協力したい」 - 産経ニュース

2015年5月に計画変更、夏に韓国側が現地視察。

新宿区にはこの事実は知らされず、2015年11月26日の新宿区議会でも、同じ質疑応答がなされています。

(田中のりひで議員)これまでも提案している旧市ヶ谷商業高等学校跡地等都有地の適否を含めた検討状況や東京都・国への照会状況についてお聞かせください。

(吉住区長)旧市ヶ谷商業高校跡の都有地については、以前から都にも打診していますが、平成29年3月まで区が借用しており、その後の活用については平成29年4月以降に検討するので現段階では要望を受けられないとの回答は変わっておりません。

2015年第4回定例会 代表質問 | 日本共産党 新宿区議団


新宿区と舛添都知事は、それぞれ下記のように述べています。

一方、待機児童対策の現場を担う新宿区の反応は複雑だ。保育所整備の担当者は「新宿は外国人も多く、国際協力としての都の決定も理解はできる」としながらも、韓国政府への貸与について「寝耳に水。それなら使わせてくれればよかった」と吐露する。

(中略)

跡地は現在、都教委から区教委に貸し出され、校舎改築中の区立小学校が仮校舎として利用しており、区は昨夏、都教委の担当課に保育所整備用地として借りたいと申し出たが、「要望を受ける窓口がない」と受け付けてもらえなかったという。舛添知事は会見で「新宿区からそういう話は聞いていない」と語るだけだった。

なぜ韓国人学校に都有地貸し出し? 批判1日で300件 「保育所整備に使って」「外交より都民優先を」

さて、どちらの言い分が正しいのでしょうか。

舛添都知事の宿泊費は条例の上限を超えている

舛添都知事らが2015年10~11月の海外出張費約5,000万円が高額であると指摘されていた件で、東京都は内訳をHPで公開しました。

このうち、知事は1泊19万8,000円のスイートルームに宿泊しています。
舛添知事らの出張費って高過ぎない? 航空費1500万円、一流ホテルに5泊922万円 - 産経ニュース

「東京都知事等の給料等に関する条例」によると、都知事の外国での宿泊費上限は40,200円です。つまり、条例の上限を超えています。

過去の出張でも同様です。

2月のソチでは高級リゾートホテル「ソチスパ」に2泊し、五輪開催中の繁忙期とはいえ料金は1泊15万1800円。ちなみに経由地のフランクフルトで空港ストに遭遇して急遽、宿泊したホテルは1泊5万2300円だった。

7月のソウル訪問でロッテホテルの1泊6万円のスイートルームに2泊したのは安価な方で、ロンドンではドーチェスターホテルのジュニアスイート(15万8000円×3泊)、北京ではニューオータニ北京のスイート(6万9500円×2泊)、ベルリンではインターコンチネンタルベルリンのジュニアスイート(9万5000円×2泊)など世界の一流ホテルのスイートを利用してきた。

出張が多い舛添都知事 ロンドンで1泊15万、ベルリンで9万

都知事が安宿に泊まる訳にはいかないというなら、条例自体を変えるべきです。
それをせず、条例をいわば無視しているのはなぜでしょう。

担当部局の承認があれば宿泊費の増額が認められるというが、ことごとく上限を超えるのであれば、条例の規定そのものを変えるべきだ。それをしないのは条例改正を議会に諮ることで、「豪華外遊」批判を浴びることを恐れているからではないか。だから情報公開請求をしない限り明らかにならない「増額申請」が毎回のように出される。

出張が多い舛添都知事 ロンドンで1泊15万、ベルリンで9万

舛添都知事は、宿泊費に関する都条例を無視するように、新宿区からの土地取得の要請も無視したのでしょうか。

都民にとって、優先すべきは何か

現在、都民にとって、優先すべき問題解決は何でしょうか。

特別支援学校、保育園、韓国人学校。
難しい問題ですが、舛添都知事は韓国人学校の設置を選んだようです。

しかし、その前に都民の声は聞いたのでしょうか。
新宿区長や区議会の声は聞いたのでしょうか。

都民の優先順位は何か、それぞれ意見は違っても、今が伝えなければならないタイミングではないでしょうか。


(前回の記事を読んでくださった方へ)
心配してくださった方、申し訳ありません、そしてありがとうございます。
結局、いつものペースで記事更新になりました。前回学んだことを教訓に、またブログを書いていきます。これからも読んでいただけるとうれしいです。