ニャート

出版社を過労で退職→ひきこもり→非正規雇用を経て、社会のあり方について思うことを書いています。

精神障害者の働き方について思うこと

先日、「『正しく』よりも『やさしく』ありたい、そのためのメモ」で、うつ病ブロガーさん(Aさん)がブログを削除した経緯について書きましたが、中途半端な書き方だったかもしれません。

彼女が匿名掲示板で父親の個人情報を晒され、ブログ削除に追い込まれたことは、私にとって衝撃でした。
もし自分が同じことをされたら、衝動的な自殺に走ってしまうかもしれません。
彼女にとって、ブログは自らを表現し承認される場、他者とつながる大切な場であり、それを奪う権利はだれにもありません。

しかし私は、彼女を批判する記事を書いたことのあるブロガーさん(Bさん)とも知り合いのため、どの視点からこの記事を書こうかかなり悩みました。
(掲示板でAさんを攻撃していたのはBさんではないと信じています)

Bさんのことを除いても、掲示板でAさんを攻撃していた人たちは、リアルで苦しい思いをしていたりAさんよりも病んでいたりするのではと心配になるような人たちに思えます。
まるでAさんへの攻撃心をエネルギーとして、何とか日々生き延びているかのような。

弱い人たち同士で叩き合う、どうしたらこの種のトラブルが無くなるのか分かりませんが、思ったことをまとまりなく書いておきます。

Bさんによる、Aさんの批判内容

Aさんは、うつ病で障害年金2級を受給していて、働いたことがありません。
Bさんは、発達障害で障害年金3級を受給しながら、障害者雇用(最低賃金)で働いていました(当時)。
Bさんのブログからは、最低賃金で働くことの苦しさ大変さが伝わってきます。

もらえる金額は2級>3級であり、その差額≒Bさんの給料月額のようでした(他にも年金・市営住宅優遇措置の有無などの差)。
Bさんは、自身は苦労して働いているのに、Aさんは"不労所得"(引用)でBさんの給料とほぼ同額がもらえることを"不公平"(引用)と感じたようです。

仕事で苦しむBさんから見ると、働いたことのないAさんが抱く仕事への憧れが、夢見がちなものに思えたようです。

このことへの私の感想を書く前に、「障害者雇用と最低賃金」についてさらっと触れます。

障害者雇用と最低賃金

障害者雇用と賃金の歴史について、社員の7割が知的障害者である日本理化学工業について書かれた「虹色のチョーク 働く幸せを実現した町工場の奇跡 (幻冬舎単行本)」から、印象的な部分を引用します。

「チョークの製造ラインに入ったパートさんたちが、不満の声を漏らしはじめたのです。『いろいろと手がかかり、私たちには余分な仕事が増えていく。それなのに、なぜ同じ給料なのですか』と、直談判に来る人もいました。ほとんどのパートさんも最低賃金で働いてくれていましたから、もらうお金が障がい者と一緒では納得がいかないのも当然のことでした」

(中略)

障がい者の賃金については都道府県労働局長の許可を受ければ特例として「最低賃金の適用除外」が認められていたが、大山会長はそうしなかった。 「申請をすれば最低賃金より2割から3割低くできましたが、私はそれを選びませんでした」

この文章から、当時(1960年代)は障害者の賃金が最低賃金を下回るのが普通だったことが透けて見えます(さらには、障害者雇用自体が少なかったのです)。

そうした歴史があるため、今でも障害者の賃金は低めです。
平成25年度障害者雇用実態調査によると、平成25年10月の平均賃金(月額)は、精神障害者は15万9千円です(身体障害者は22万3千円、知的障害者は10万8千円)。
これは手取りではなく額面で、この金額で暮らすことは困難でしょう。

さらに、一般企業での就労が難しい人のための社会復帰練習の場として、「作業所」があります。
そのうち、B型作業所は今でも時給が最低賃金以下です。

そもそも、世の中には最低賃金で働いている健常者の人も大勢います。
だから、最低賃金が生活できないくらい安すぎるということに、根本的な問題点があります。

(この問題については、いつか単独の記事を書きたいです)

精神障害者こそ、アフィリエイトなどの稼ぐ手段を複数持つことが必要かもしれない

Bさんが、Aさんを批判した背景として、「お金」の存在は大きいように見えました。
Bさんが給料の安さ・働くことの困難さに悩んでいなかったら、Aさんがブログに書いた仕事への憧れを読んでも、批判することはなかったのではと思います(これは私の解釈に過ぎませんが)。

どうしたらBさんの苦しみが減るかを考えると、なかなか難しいです。
障害年金3級という診断を見直してもらえるよう医師に相談するとか、何かしら相談できる人が周囲にいればよいのですが、それもまた難しいようです。

でも、Aさんは悪くありません。
あえて何かが悪いとすれば、障害年金2級と3級とで差を設けた制度や、最低賃金で働かされるような労働環境だと思います。

Bさんが置かれた状況は、とても気の毒です。
日々苦しむBさんから見たら、働くことに漠然とした憧れを抱いていたAさんに歯がゆさを感じたのかもしれません。
でも私は、自分のブログくらいは曖昧な希望を書ける世の中であってほしいと思います。

私自身は障害者雇用を利用したことがなく、アルバイト・パート・契約社員・派遣社員などで働いてきました。
パニック障害であることを公表していないので苦労もしましたが、同じ苦労を他の人にはさせたくありません。

「社会復帰は、アルバイトなどのスモールステップを積み重ねることが必要」と言われますし、私自身もアルバイトの時間数や日数を徐々に増やしていくことで社会復帰をしましたが、それが万人に向いているかといえばそうは思いません。

例えば、コンビニのバイトは安い割に仕事は多く、マルチタスクが必要です。
精神障害や発達障害の人はマルチタスクが苦手な傾向があるので、コンビニ業務等のアルバイトは、社会復帰の入口としては荷が重いのではないかと思います。

加えて、例えばAさんの長所は文章力と画力ですが、コンビニ業務等でAさんの長所を活かすのはなかなか難しく、やりがいも少ないかもしれません。

「そんなの甘い考えだ」と思うでしょうが、苦手な状況はできるだけ回避した方がよいでしょう。
それは「逃げ」ではなく、戦略的退避です。

私自身、パニック障害を抱えながら働いてきた数年間を振り返って、「世間が『これこそ労働』と思う働き方に固執するのではなく、短所が多いからこそ、それを回避してできるだけ楽に、長所を活かせる働き方を模索する方がよかったのではないか」と思い始めているからです。

以前、検索で見つけた身体障害者の方のブログで「ブログで月3万円稼ぐのは、努力すれば可能。障害者が在宅で月3万の所得があれば、どれだけ助かるか」という文章を読んだことがあります。
その人のブログは、身体障害者の目線で、使いやすいグッズを紹介していました。

私は個人的に2015年頃に大量発生したプロブロガーが嫌いだったので、アフィリエイトを勧めてきませんでしたが、AさんやBさんのような人を救うのは、本当は、在宅でもできるアフィリエイトなどの生計手段を複数持つことなのかもしれない、と思い始めています。
(はてなブログのアフィリエイトは2015~16年がピークだったこと、収入の不安定さを知った上であえて書いています)

私は、ブログで稼げないと悩むAさんに向けて、「『ブログに好きなことを書いたら稼げる』って嘘だよ」を書いたことがありました。
あの時本当にすべきだったのは、Aさんにアフィリエイトの稼ぎ方を教えることだったのかもしれない、と今は思っています。

私自身が持病を抱えているため、このブログにやりたいと書いたことも何一つ実行できていない情けない状態ですが、もし自分に金銭的余裕ができたときにやるべきことは、駆け込み寺を作ることではなく、無料でアフィリエイトなどの複数の稼げる手段を教えることなのだろうかとも思い始めています。
(このことは、ある知り合いの方に提言されたことがあり、「その通りだったな」と思っています)

最後に

ここまで、Aさんがブログ削除まで追い詰められたことに衝撃と同情と心配を感じながら、Bさんとも知り合いでその苦しみも理解はできるため、どういった立場からこの記事を書くべきか悩みました。

だけど、自分が苦しいからといって、本当は同じことで苦しんでいる人を、自分よりも楽な状況に見えるからといって批判するのでは、ギスギスした生きづらい世の中になってしまいます。

精神疾患を抱える人同士がコミュニケーションを取ることは、健常者間よりも難しいです。
何気なく言った言葉が、相手を必要以上に傷つける可能性を、いつも意識している必要があります。
そして、だれかが自分よりも楽をしているように見えても、気にせずにスルーすることが大切です。
メンタルが弱いからこそ、特定の人に強い感情を持たないように、私自身心がけたいです。