ニャート

パニック障害で退職→ひきこもり→非正規雇用の氷河期世代。だめ人間が何とか日常を投げずに生きていくためのメモ書き。

自分ではどうしようもない障害に振り回されること

12月のTBS「報道特集」で、小児性犯罪の加害者である加藤孝さんのことを知った。

「被害者も加害者も生まない方法を…」小児性犯罪の実態、当事者たちの思い【報道特集】 | TBS NEWS DIG

加藤さんは、30代のとき強制わいせつ未遂罪で逮捕されている。

その後、「小児性愛障害」の診断を受け、現在も性依存症の自助グループへの参加や治療を通じて、性的衝動をコントロールしようとしている。

印象的だったのは、外出時の1シーンだった。
公園でのインタビュー中に、加藤さんは突然目をつぶってしまう。

――さきほど目をつぶったのは?

加藤孝さん
「はっきりしなかったが、未成年のような人が視界に入ったのでちょっと困りました。今も視界に入っているので、ちょっと目線を…実際にはどういう人ですか?」

――ブランコに乗っています。

加藤孝さん
「大人の方ですか?それとも…」

――高校生ぐらい。

加藤孝さん
「ちょっと危険ですね」

つまり、加藤さんは性的衝動を起こさないように、子どもを徹底的に視界に入れないようにしていたのだ。
子どもを連想させるものも同様で、外出中の駅や電車内でも、女子高生が来たら席を移動し、小学生が通りかかったら目を閉じていた。

このシーンを見て、加藤さんはまさに「小児性愛障害」という、衝動を起こす制御不能な回路に振り回されているのだと感じた。

加藤さんは、子どもを見ると性的衝動を起こす可能性がある。
刺激→衝動という回路を断ち切ることは難しく、子ども自体を目に入れないことで、衝動を起こす回路のスイッチを入れないようにしている。

日常生活で、子どもやそれを連想させるものを目に入れないよう、避けて通ることは難しい。
加藤さんの人生は、この障害(衝動を起こす回路)に振り回されることが大半を占めていて、残りの要素はほとんどないのではないかと感じるほどだ。

小児性犯罪には被害者がいる。この「報道特集」の前半でも、被害者のかたのインタビューを取り上げていた。被害者のかたにとっては、加害者によって一生を、ひどい場合では命を奪われるのだから、苦しみは加害者の比ではない。

それを踏まえたうえで、もし自分が加藤さんとして生まれていたのなら、たまらないと思った。
自分では制御できない障害に振り回される人生を迎えてしまったら、どうしたらよいのだろう。

私もパニック障害だが、(生きづらさは加藤さんほどではないが)発症後の自分の人生はパニック障害を中心に回っていると感じる。

そして、父はアルコール依存症だが、傍から見るとアルコールに振り回されてきた人生のように映る。
まるで、酒を飲みたがる下等霊に憑かれていて、本人の意志や魂は既にどこにもないように見えるのだ。

私には、こうした障害に振り回される自分と、障害を持つ家族に振り回されている側の、両方の側面があるのだが、障害に振り回されないようにする気持ちの上での対策はほぼ思いつかない(パニック障害にはSSRIによる治療が効果的なのが幸いだが)。

自分に対しては、パニック障害に振り回されている自分を自覚して、コントロールしたいという気持ちを強めること。
父に対しては、この人もまた、自らにはどうしようもない回路に振り回されているのだという気持ちを持つこと(ただし、本人にその状況を克服したいという気持ちがないなら、割とどうしようもない)。

この文章は、加藤さんの生きづらさを見て感じたことを書きとめておきたいというメモ書きなので、結論がない尻切れとんぼですみません。