ニャート

出版社を過労で退職→ひきこもり→非正規雇用を経て、社会のあり方について思うことを書いています。

文章のエッジと毒

今日は軽めの話を。

文章にエッジが必要な理由

「エッジの効いた文章」という表現がある。

エッジ:刃物の刃。刃物の切れ味。また比喩的に、人を刺激する鋭い感覚。「エッジの効いたデザイン」

(デジタル大辞泉より)

つまり、「鋭い文章」といったような意味だ。

例えば、どこからも突っ込まれないような、きれいな文章を書いたとする。
批判はされないが、読まれることもない。当たり前すぎて、読む価値がないからだ。

絵には、光だけでなく影がないと、奥行きやリアルティを感じないのと同じことである。

だから、文章にはいくらかはエッジが必要だと思う。

文体よりも、ものの見方にエッジが必要

そこで、一文一文にエッジを効かせようとして、過激な単語を選択する手法がある。
私もやってしまいがちだが、これは逆効果だ。

過激な単語を選ぶと、文章自体が敬遠されて読まれない。
さらに、単語のイメージに引っ張られて、書いていないことまで勝手に付加して理解されるので、文意が正しく伝わらないことがある。

一文一文ではなく、ものの見方にエッジが必要なのだと思う。

同じニュースでも、事件のどこを切り取って、どこに重点を置きどこを省略するかで、アウトプットは別物になる。

誤読を防ぐため文体はできるだけ平易に、オンリーワンの切り取り方で人の心を震わせること、それが私の中の「エッジの効いた文章」だ(一般論はちがう)。

エッジが必要ないブログ

しかし、エッジが必要ないブログもあり、そちらの方が多数派だ。

ブログには、「書かずにはいられない」から書くブログと、レビューのような情報を届けるブログと、2種類ある。

前者と後者では、「好きなことを書く」の意味がちがう。
前者にはエッジが必要だが、後者には不要だ。

私は、理想的なブログ運営は後者で、はてなブログの中から選ぶなら「ぐるりみち。」がベストだと思っている。
(リンクして、この内容で言及通知を飛ばすのは先方に申し訳ないので、ぐぐってください)

書評やレビューがメインで、そこから派生する人生論や文化論につなげる形で、ヘビーな問題は扱わない。

レビューメインだと、分かりやすさやユーザビリティの方が大事で、オリジナリティは必要だがエッジ(鋭さ)は不要に思える。
情報や軽い読み物が読みたいのに、グサグサ刺されたら邪魔だから。

ブログ運営がしやすいのは圧倒的に後者で、人を傷つけて恨みをかうこともない。

前者と後者では、ブログ以降の展開もちがう。
後者のメインはアフィリエイトブログ(「ぐるりみち。」さんのことではありません)なので、そのままセミナー・サロン・有料情報等につなげられるし、恨みをかわないからコミュニケーションも楽だ。

前者は、「書かずにはいられない」結果、違う価値観を持つ他人を、意図せず傷つけることがある。
記事が増えるたび、ヘイトが溜まり屍が増えていく。
そうなると、ブログ以降の展開も難しい。オフ会で人に会うだけで一苦労だ。

エッジと毒は違う

「書かずにはいられない」気持ちは、エッジではなく毒につながることもある。

エッジと毒を勘違いしている人は、「鋭さ=暴言・奔放」だと思っているが違う。
暴言や奔放は徹底的に排除すべきだ。

この違いが、私もブログ初期〜中期は分からずに、失敗を重ね続けた。今でも上手くできているとは言えない。

例えば、パソナ会長の竹中氏を批判したいとする。
私はこの人物が、世界で一番嫌いだ。

だが、その本音を心のままに放出して、過激な言葉を使っても、人の心には届かない。
「書かずにはいられない」気持ちの裏に黒いものがある時ほど、冷静な文章で、竹中氏の主張に対抗できるデータを淡々と積み重ねて、主観を入れない必要がある。

批判が許される公人ですらこうなのだから、ブロガーのような一個人について負の本音を書くことは絶対にしてはならない。
このことを学ぶのに、2年以上と数々の痛い経験を費やした。

それでも最近、うつ病ブロガーさんが匿名掲示板で個人情報を晒されてブログを閉鎖したことが本当にショックで、名前を出さずにある方に言及してしまった。
できるだけ優しい言葉を使うよう、自分にできる最大限の配慮をしたのだが、ただ傷つけただけで事態は何も解決しない(むしろ悪くなった)で終わってしまった。

それは身勝手な義憤であって、どんなに無力感に苛まされても、やはり公人や社会問題以外には言及すべきではないのだ。

エッジと毒を区別するのは難しく、知らぬ間に自家中毒に陥る。
言葉の威力は恐ろしく、責任は重い。

自分の中の毒をエッジに昇華し、建設的な意見につなげるには、冷えた心と自己コントロールが必要であると、自戒として記しておく。

(書き終わってから、ブログにはコミュニケーションツールという3つ目の種類があることを思い出した。書くことで他のブロガーとつながるためのブログ。1つ目と3つ目を混ぜて、ブログで暴言を吐きながら他のブロガーとリアルで接すると混乱が増すので、孤独に耐える必要がある)

(注・この記事はhagexさんの事件とは全く関係がありません)