「社会人2年目で年収1000万円を超えた私が考えるキャリア論」という、シャイニング丸の内さん(以下シャイ丸さん)が書いた記事を読んだ。若くして高収入を得るための「年代別のやるべきこと」について書いてある。
勝ち組の話から学べるものは多い。だが、負け組の話も、反面教師としてはいい素材になる。
私は一橋大学を出た後、出版社に就職したが、数年勤めた後に過労が原因のパニック障害を発病して退職し、引きこもり→バイト・パートで社会復帰→現在は派遣社員をしている。社会復帰後はずっと非正規労働者で、今後もそうだろう。
そこでこの記事では、シャイ丸さんの文章を読みながら「どうすればレールを踏み外さないですんだか」、いやむしろ「どうすればレールを踏み外しても致命傷を負わずにすんだか」について考えてみたい。
大学入学までにやるべきこと
大学入学までにやることについて、シャイ丸さんはこう述べている。
・勉強してトップ大学に入る
・学部は純粋に興味があるものを選んでよい
私が「こうすればよかった」と思うことは下記だ。
・「トップ大学に入る」ことを目標に勉強しない
・自分の長所が活きる勉強と進路選びをする
「トップ大学に入る」ことを目標に勉強しない
私は標高800mの山奥で育った。両親はともに高卒で、お金もない。高校は、地域の進学校(公立)に片道2時間かけて通った。地頭は悪く、ガリ勉してようやく大学に入った。高校時代は、長時間の通学と勉強だけで消えてしまった。
(これは別の記事で詳しく書きたいが)シャイ丸さんが言うような「トップ大学に入る」ことを目標に、小・中・高と勉強するのは危険だと思っている。
なぜなら、皆が皆、トップ大学に入れる訳ではない。
私のような凡人がその道を目指すには、成果に対して、かけるコスト(時間と気力)が大きすぎる。
自分の長所が活きる勉強と進路選びをする
それより、自分比で最も優れている点(たとえそれが他人比で平凡でも)が伸びるような、勉強と進路選びをした方がいい。
受験勉強という、その時しか使えず応用が利かないスキルを磨くより、学生時代にしかできない経験の中で、地頭とコミュニケーション能力を磨き、自分をみつめ、何に興味があってどんな進路(=学部)を選べばいいかを考えるべきだ。
ただ、選んだ学部が就職に不利な場合もある(文学部など)。その場合は、情報を集めた上で、「文学部は就職に不利」「でも、勉強したいから行く。就職できるよう、大学時代は○○を勉強したり、○○という経験を積もう」など、覚悟と戦略を持ちたい。
大学卒業までにやるべきこと
大学卒業までにやることについて、シャイ丸さんはこう述べている。
・今後の方針策定:自分が何をしたいのかを見つける、そのために本気で行動し続ける。「のんびり働く」方針なら、それも早く決める。
・ハードスキルを磨く:英語/IT/ビジネス/金融
・ソフトスキルを磨く:コミュニケーション能力/タフネス/振る舞い
私が「こうすればよかった」と思うことは下記だ。
・自分が何をしたいのかを見極め、そのために役立つスキルと知識を磨く(シャイ丸さんと同じ)
・そのためには、受験勉強で燃え尽きない
・女性は、結婚相手候補を見つけておきたい
受験勉強で燃え尽きない
私は、大学入学までの受験勉強で燃え尽きてしまった。
また、大学と学部を受験教科による消去法で選んだため、何を学ぶべきかも考えていなかった。
だから上で述べたように、私のような凡人は、無理せずに入れる大学を選んで、大学で学ぶための余力を取っておくべきだ。
女性は、結婚相手候補を見つけておきたい
あと、これは蛇足だが、女性と男性は、雇用において平等ではない。どんなに女性が努力しても、仕事で報われない局面は出てくる可能性がある。そのため、仕事以外の選択肢も持っておいた方がいい。
女性は、大学時代に、結婚相手候補を見つけておきたい。
例えば、東大の学生でも、大人しい人だと学生時代は全くモテない(だが、性格に難がなければ、社会人になった後にモテる)。そういった「今はモテていないけど、誠実な人」を見つけて、相手が結婚したいと言ってくれそうなほど、いい付き合いをしておこう。「誠実」が大切なのは、社会人になってモテ出すと、途端に学生時代の彼女と別れる人もいるからだ。
就職活動でやるべきこと
就職活動でやることについて、シャイ丸さんはこう述べている。
・のんびり働きたいなら、それが可能な会社に全力で入る
・挑戦したい場合は、「入社したい理由」「相手が自分を採用するメリット」を明確にする
私が「こうすればよかった」と思うことは下記だ。
・「やりたいこと」と「できること・できないこと」とのギャップを見極める
・潰しが利かない職種に就きたい場合は、対策を考えておく
「やりたいこと」と「できること・できないこと」とのギャップを見極める
就職活動を行う上で、初めから「のんびり働く」「挑戦する」のどちらかを選択することは難しい。挑戦したかったが、自分には不向きだと諦めた方が幸せな場合もある。
私は本が好きなので、出版社に入りたかった。だが、出版社は激務である。そのことは分かってはいたが、本当には分かっていなかった。
「たとえ好きな事でも、1日14時間勤務を何年も続けられるか?」
これは、激務が伴う職種につきたい学生は、考えておいた方がいい。若く元気な自分のMax値を参考にするのではなく、30代40代になり体調が崩れてきても、結婚して子供ができても続けられそうか、無理ならいつまで続けてどう転職するか、は考えておくべきだ。
潰しが利かない職種に就きたい場合は、対策を考えておく
また、潰しが利かない職種を選ぶ時は、絶対に対策が必要だ。
私は編集職だったが、激務が嫌で転職したいと思っても、潰しが利かないため同職種しか転職できず、労働条件はより悪くなる。
他職種は未経験スタートになるため、年を取ると採用されない。
そういった職種を選ぶ場合は、「○年でダメだと思ったら撤退」と決め、転職はどうするべきかなど対策を考えておくべきだ。
社会人としてやるべきこと
社会人としてやることについて、シャイ丸さんはこう述べている。
・どう戦うか、ポジショニング戦略を決める(○○領域の○○はNo.1等)
・努力する
上記は「挑戦する」場合にやるべきことだが、私は「どうすればレールを踏み外しても致命傷に至らなかったか」を考えているので、「こうすればよかった」と思うことは下記になる。
・会社人生は短距離ではなく、マラソンであると思うべし
・転職時に、職務経歴書に書けるような仕事をする
会社人生は短距離ではなく、マラソンであると思うべし
日本では、新卒カードで入った会社に生涯勤めることが、一番安定している。
そのためには、成果を焦って短距離でぶっ走って体を壊すことは厳禁である。派手な成果は求めずとも、勤怠に傷がつかないよう、常に一定の能力で走り続ける方がずっと大事だ。
つまらないけど、休まず、目立たず、恨みをかわず、相手の予想を良くも悪くも裏切らないことが大切だ。
転職時に、職務経歴書に書けるような仕事をする
とは言え、新卒カードで入った会社が潰れることもある。
そのため、常に「これは転職時に職務経歴書に書ける仕事か?」を意識しながら成果を積み重ねていった方がいい。
例えば、自社にしかない特殊な入力システムに精通していても、その業務だけでは転職時にアピールできない。
その場合は、もっと汎用性のある業務を希望するか、希望がかなわなければ、「そのシステムをいかに改善したか」など他社でも役に立ちそうな切り口で仕事をした方がいい。
転職を考えた時
転職を考えた時にやることについて、シャイ丸さんはこう述べている。
・転職ジプシーにならないように(転職は2回まで)
・目標を見失わないように
・やりたいこと<待遇と思えてきたなら、やりたいこと自体が大したことではなく、『せこいサラリーマンに自分が堕ちた』(カッコ内引用)と認識すること
私が「こうすればよかった」と思うことは下記だ。
・転職は1歳でも若いうちに
・焦りから負のスパイラルにハマらないように
転職は1歳でも若いうちに
日本では、初めから「当たり」の会社を引くことが求められる。
日本では、転職は罪だし、年を取ることも罪なのだ。
「外れた」と思ったら、できるだけ早く転職しよう。
よく「3年は我慢しろ」という言葉があるが、半分正しくて半分間違いである。それは、今の悩みが、3年経ったら解決するのかしないのかによって違う。
例えば、仕事が覚えられない等、時が経てば解決する悩みなら3年待ってもいい。そうではなく、時が解決しない根本的な悩みなら待つことはない。
焦りから負のスパイラルにハマらないように
だが、焦って失敗してはいけない。
最初の会社Aから会社Bへの転職は、1度目だし支障はないだろう。だが、会社Bがまた「外れ」だった場合、転職歴が増えるため、次の転職に若干支障が出て「外れ」を引く可能性が増えてしまう。そして、また会社Cが「外れ」だったら…?
「それは自己責任」という指摘もあるだろうが、実際に負のスパイラルは存在するので、1社目の転職は慎重に、できたら知り合いがいて実情を教えてもらえるような会社が望ましい。
まとめ
ここまで「どうすればレールを踏み外しても致命傷を負わずにすんだか」を考えてきたが、まとめたい。
・「トップ大学に入る」ことを目標に勉強しない
・受験勉強で燃え尽きない
・自分の長所が活きる勉強と進路選びをする
・大学では、自分が何をしたいのかを見極め、そのために役立つスキルと知識を磨く
・「やりたいこと」と「できること・できないこと」とのギャップを見極める
・会社人生は短距離ではなく、マラソンであると思うべし
・転職は1歳でも若いうちに
大事なのは「見極めの早さ」だと思った。
大学入学までは「好きなこと」「強み」を見極めて進路を決め、大学では「やりたいこと」「そのために必要なこと」を見極めて勉強し、就職活動以降は「やりたいこと」「できること」「できないこと」のバランスと、会社や職種が合っているかを見極める。
日本では、若い人しか求められない。
逆に、若ければある程度冒険できる。
私も20代のうちに、自分の器を見極めたかった。