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パニック障害で退職→ひきこもり→非正規雇用の氷河期世代。だめ人間が何とか日常を投げずに生きていくためのメモ書き。

40代貧困でも70歳までに「最低」200万貯金が必要【氷河期貧民の老後設計】

40代貧困でも70歳までに「最低」200万貯金が必要――。

この「最低」は、暮らすために必要な金額ではなく、緊急避難用の「最低」金額だ。

同じ40代でも、収入や貯蓄額に大きな格差がある。この200万円を「少なすぎる」と思う人と、「低収入でカツカツなので、200万円も貯められそうにない」と思う人がいるだろう。

今回は後者の、70歳までに200万円貯めることも厳しそうな40代向けの記事である。

緊急避難用に必要な200万円の内訳

この「緊急避難用に最低200万円必要」という立ち位置は、老後独身で、最低限必要な手続きを頼れる人が、兄弟や甥・姪しかいない設定で考えている。

金額は、分かりやすさを重視して、5万区切りのどんぶり勘定。

病気や認知症などで突然、入院や介護施設への入所をする場合、最低でもざっと次のお金がかかる。

  • 入院:月8〜10万
  • 入所:特養月8〜10万/ショートステイ月15万

この金額は、収入と要介護度、地域などにより異なるので、あくまで目安と考えてほしい。

入院費は高額医療費の月の上限(月10万以上かかる所得の人は貯金もあるだろうから除く)。公的介護施設の特養(特別養護老人ホーム)は要介護度3以上でないと入所できず、すぐには入れない。要介護度3以下の人でも、特養などのショートステイは使えるが金額は高い。なお、有料老人ホームは安くても月20万以上かかるので除く。

その他、雑費や留守宅の光熱費など、合わせてざっと1人あたり月12〜20万、ここでは分かりやすいように月15万で考える。

200万円あれば、葬式代50万円を抜いても、非常事態の最初の半年は乗り越えることが可能だ。

緊急避難用の200万は周囲の人のため

この200万は、自分のためよりも、巻き込まれるかもしれない周囲の人、兄弟や甥・姪のためのお金だ。

基本的に、自分が独身で兄弟がいる場合、兄弟やその子どもを巻き込まないような事前準備をしておきたい。

具体的には、自治体の身元保証サービスを利用するなどだ(お金はできるだけかけない)。

孤独死と葬儀:身元保証人がいない高齢者の身元保証代行費用はいくら? - ニャート

しかし、準備なしに突然倒れることはある。1日くらいで死ねたらよいが、長引けば兄弟に連絡がいくだろう。

そうした時に、貯金がなく年金も少ないと、兄弟に多大な迷惑がかかる。半年分持ちこたえるお金があれば、その間に周囲の人も今後の方針を考えられる。

氷河期世代は親の介護費用に泣く

この200万円は、私の実体験から見積もった金額だ。

去年の秋に、父が突然アルコール依存症で倒れて入院した。

母は認知症で、父母は実家で2人暮らしをしていた。私は数年間実家で暮らし、母の面倒を見ていたが、父と険悪になり実家を出て1年たっていた。

急遽、私が実家に戻って母と暮らしていたが、今年の1月に私が重い風邪をひいたのをきっかけに、母はショートステイで特養に入っている。

ざっと、父の入院費が月10万、母のショートステイ代が月15万、その他マンション管理費や光熱費など月5〜7万。その他、母の病院代や薬代、父の車検代(一応通した)、税金とお金は出ていくばかりだ。

衝撃だったのは、両親の貯金が少なかったことと、保険に入っていなかったこと(痛恨の極み)。それなのに、BSで広告している老人向けの訳の分からないサプリをたくさん定期購入していた点だ(すべて解約)。サプリを飲んで大酒を飲む、本末転倒である。

貯金が少ないのは何となく知っていた。私は実家にいた頃、月5万円家に入れていたが、それを当てにしている節があったからだ。

この件があって、自分の人生をより一層後悔するようになった。パニック障害で退職後、人生を立て直せていたら、父母をもっと(金銭的に)援助できていただろうに。

いま流行りのコスパで言ったら、私を苦労して大学に行かせたのに、両親のコスパは悪すぎた。親ガチャの逆の「子ガチャ」である。

とはいえ、年金は入るのだが、そのうえで貯金が100万円では足りない。「最低でも」200万円、それが本当に最低金額というのが実感だ。

(たぶん、インフレが進み年金も少ない氷河期世代は200万円では足りないが、2023年2月時点の金銭感覚で書いておく)

50歳から70歳まで毎月1万円貯金すれば240万円貯められる

金融広報中央委員会による「家計の金融行動に関する世論調査」(令和4年)では、40代単身世帯(独身)のうち35.8%、70代単身世帯では28.3%が貯金額がゼロである。

私自身も、収入が少なくて貯金ができていない。なので、自分が元気を出すために次のように考えた。

50歳から70歳までの20年間、毎月1万円貯金すれば、70歳までに240万円貯められる。

月2万円なら20年間で480万円。月3万円なら600万円。月1〜2万円なら、低収入でも支出の見直しをすれば何とか貯金できる。

なぜ50歳かというと、いま40代で低収入なら、50になるまでに収入を増やす、借金をゼロにするなど、人生の立て直しを頑張ろうと思えるからだ。

この目標なら覚えやすく、70歳までに20年以上あると希望がもてる。

老後に2000万円必要といわれても、40代で貯金がゼロなのに、65歳までに2000万円貯まるわけがない。目標が遠すぎて、やる気がもてない。

もちろん、できる人は『今すぐ』少しでもいいから毎月貯金しよう。

氷河期世代が70代になる頃は、インフレが進み、年金は少なく、特養にも入れず、治安も悪く、地方は廃れ、行政に頼ろうとも日本自体が貧しくなっているかもしれない(そもそも地球があるかどうか)。

しかし、自暴自棄に「どうせ死ぬから何もしなくていい」と考えて、生き延びてしまったら困る。

過去に、1999年にノストラダムスの予言があたって地球が滅ぶから働かなくてよいと考えて、オウム真理教に入信した人がいるが、そんな感じに人生が破滅してしまうだろう。

(注:貯金だけではなくインフレ対策が必要だが、今日は触れない)

老後どうするか話し合えるような友人をつくる

40代以上の独身者は老後どうするか、という議論で、婚活を勧められることがある。

40代で結婚相談所に入って婚活して、婚約者はできたがまだ入籍できていない私としては、40代で結婚するのは大変だと思っている。

ムリして婚活するよりも、老後どうするか、お金の問題までぶっちゃけて話し合える、同性の友人をつくっておく方が、効果的な対策だ。

そういった友人がたくさんできれば、ひとりだと不安だからグループで何か仕組みをつくろうという話も、自然に生まれるかもしれない。

「安楽死」という強い言葉を使うと議論が進まない

高齢者問題を考えるときに、必ず出てくるのが、安楽死を強制すべきといった極端な解決法だ。

私のように、自分の人生や国の未来にネガティブだと、安楽死できたら楽だと思うし、世論が信じられないので安楽死の強制はありかねないと思うことはある。

しかし、「高齢者や障害者は安楽死すべき」という過激な主張は、言った人がスッキリするだけで、議論自体は何も進まない。

うちの父親は、自分が死ぬときは(認知症の)母も連れていくと言っていたけれど、そんなことできるわけもなく、いざ倒れたときは何の準備もできていなかった。それと同じだ。

政治や行政はあてにできないからこそ、個人でできるゆるい結束、まずは話し合える友人をつくるという一歩から始めたい。

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