ニャート

パニック障害で退職→ひきこもり→非正規雇用の氷河期世代。だめ人間が何とか日常を投げずに生きていくためのメモ書き。

バックカントリースキーとは?遭難・死亡する外国人は迷惑なのか

2023年冬の遭難ニュースでは、「バックカントリー」という聞き慣れない言葉をよく聞くようになりました。

この記事では、誤解されやすい「バックカントリー」とは何か、コース外滑走との違い、遭難・死亡事故の事例、バックカントリーで遭難する外国人はなぜ迷惑と思われているのかを解説します。

バックカントリースキー

バックカントリーとは

バックカントリー(back-country、略語はBC)とは、スキー場の管轄外の、整備されていない雪山エリアを指します。

バックカントリースキーとは、スキー場ではない雪山をスキーで滑ることです。雪山登山の下りなどにスキーを使う「山スキー」とほぼ同じ意味で使われています。

なぜバックカントリーをスキーやスノーボードで滑るのか

ゲレンデではないバックカントリーを、なぜスキーやスノーボードで滑る人がいるのでしょうか。

理由として、バックカントリーは手つかずの雪山のため、他人のシュプールがついておらず、ふかふかな新雪を楽しめるからです。

特に、ニセコや蔵王、野沢温泉など、日本には世界でも良質のパウダースノーが降ることで知られており、外国人に日本のバックカントリーは人気があります。

バックカントリーとはどこか?具体例で説明

では、バックカントリーとは具体的にどこのエリアを指すのでしょうか。

たとえば、長野県根子岳(ねこだけ)でバックカントリースキーをする場合、根子岳という雪山がバックカントリーとなります。

根子岳をバックカントリーで滑るには、一例として次のルートを辿ります。

  1. 奥ダボススノーパークの第1トリプルリフト山頂までリフトで行く
  2. 根子岳山頂までスキーで登る
  3. 2の根子岳山頂から、1のリフト山頂までスキーで降りてくる

この例では、根子岳に登る途中で、スキー場のリフトを利用しています。バックカントリースキーでは、登山の途中でスキー場のリフトを利用することもあるため、後述する「コース外滑走」と誤解されがちです。

しかし、滑っているのは根子岳という国有地の山で、スキー場の管轄外であり、スキー場が管轄しているゲレンデのコース外を滑る「コース外滑走」とは異なります。

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バックカントリーとコース外滑走の違い

バックカントリーと間違えやすいのが「コース外滑走」です。

コース外滑走とは、スキー場が私有・管理しているエリア内の「立入禁止区域」に勝手に入って滑る行為を指します。

違いは、バックカントリーはスキー場とは無関係、コース外滑走はスキー場内の立入禁止エリアを滑る点です。しかし、マスコミでもバックカントリーとコース外滑走を厳密には区別できていません。

コース外滑走は、スキー場が管理するうえで危険とみなしている区域に勝手に入り込むため、ルール・マナー違反であり、事故や遭難が起きればスキー場や救助隊に迷惑がかかります。

バックカントリーは、スキー場とは無関係の雪山なので、事故や遭難が起きてもスキー場には迷惑がかからない点が違いです。しかし、地元の警察や消防団などを動員して救助を依頼するため、雪山登山と同じく、厳しいリスク管理が求められます。

バックカントリーは違法?禁止されている?

日本のバックカントリー(スキー場とは無関係の雪山エリア)はほとんどが国有地のため、バックカントリーをスキーやスノーボードで滑ることは違法ではなく、禁止されていません。

しかし、「コース外滑走」はスキー場内の立入禁止区域を滑るため、スキー場から禁止されています。

バックカントリーの遭難・死亡事故(2023年冬・長野県)

長野県警「山岳遭難発生状況(週報)」によると、2023年1月1日から2月18日時点で、長野県だけでもバックカントリー関連で次の遭難・死亡事故が発生しています。

1月2日 34歳男性が単独で、小谷村虫尾沢でバックカントリースキー中に道迷い、救助

1月8日 31歳・34歳男性2人が、白馬村八方尾根スキー場でバックカントリーをスノーボード中、行方不明に(見つかっていない)

スノボ中の2人が不明、沢を滑走か 周辺は「雪崩の巣」の指摘 長野:朝日新聞デジタル

1月23日 5人パーティー中、外国籍の49歳男性が、唐松岳でバックカントリースキー中に発病、救助

1月26日 外国籍の54歳男性が、毛無山のスキー場のコース外に迷い込み、救助

1月28日 4人パーティー中、38歳男性が下高井郡野沢温泉村でバックカントリーをスノーボード中、雪崩に巻き込まれて死亡

バックカントリーで雪崩に巻き込まれた男性遺体で見つかる…1メートル70センチ雪の下に埋まった状態で 長野・野沢温泉村 | TBS NEWS DIG

1月29日 2人パーティー・3人パーティーの2グループ中、外国籍の男性4名が、白馬乗鞍岳天狗原のバックカントリーを滑走中、雪崩に巻き込まれて、30歳男性・31歳男性の2人が死亡、44歳男性・29歳男性の2人は救助

長野の雪崩、コース外を滑っていた外国人3グループ…意識不明の2人が現場に取り残される : 読売新聞

1月31日 外国籍の23歳男性・26歳女性が焼額山でバックカントリースキー中に道迷い、捜索中に自力下山

2月18日 5人パーティー中、55歳女性が乗鞍岳でバックカントリーを滑走中に転倒、救助

……こうして見ると、長野県の限られた期間だけでも、外国籍の遭難者が多い印象を受けます。

バックカントリーの遭難の救助費用は自己負担か?

バックカントリーにおける遭難事故の救助費用は、警察や消防などの公的機関が出動した場合は、救助費用は無料となり、自己負担はありません。

ただし、民間の救助隊が出動した場合は、救助隊員1名あたり1日3〜5万円の日当が生じ、長期化すれば数百万円の救助費用がかかるケースもあります。

バックカントリーでスキーやスノーボードを滑る場合は、遭難しないよう万全の装備と情報収集に努め、その上で山岳保険に入っておきましょう。

バックカントリーで遭難する外国人は迷惑なのか

2023年は、バックカントリーでの遭難者に外国人が占める割合が高く、ネットのごく一部では外国人遭難者を迷惑に思う人もいるようです。

歴史的な円安のなか、ニセコなど外国人によるリゾート地の買い占めが進んでいる状況を、元々よく思っていない人もいるでしょう。

バックカントリーで遭難した外国人を救助する場合、地元の警察や消防団が救助のリスクに晒され、公的機関による救助の場合、県が救助費用を負担します。人によっては「遊びにきた豊かな外国人のために、貧しい日本が救助費用を負担するなんて…」と迷惑に感じる人もいるのかもしれません。

しかし、「レジャーで遭難したのだから、自己責任であり助ける必要はない」という考えは行き過ぎのように思えます。

山では、遭難しないよう事前の準備や行動にベストを尽くすという意味では、基本的には自己責任です。しかし、命の危機に瀕している人には、たとえ国籍が違っても、助けの手を差しのべるという気持ちは忘れないようにしたいものです。

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