ニャート

旧「一橋を出てニートになりました」。出版社を過労で退職→引きこもり→派遣社員を経て、働き方や社会のあり方について思うことを書いています。

VALUを勧めるブロガーは、VALUのリスクを分かっていない

以前、「購読しているブロガーが、ビットコインとかVALUとか、読者さんが損する可能性がある物を紹介し始めたら、私は購読やめる」とツイートしたことがあった。

その時に、「現金預金/投資信託/株式(現物)/為替(FX)/仮想通貨の中で、アウト/セーフはどの辺りか」というご質問をいただいた。

なので今日は、その中のVALUについて書きたい(続きは10月頃…)。

私が思う「投資」とは

私が思う「投資」とは、たとえば株なら、「割安なものを買って、適正価格で売ること」だ。

たとえば、ニッチな分野で世界的なシェアがあるのに、知名度がないため割安な株とか、その株自体に問題はないのに、日経平均の暴落などにつられて安く売られ過ぎた株など。

そういったものを、自分で調べて考えて買うのが「投資」だと思う。

この「自分で調べる」だが、ネットや雑誌などで人気の株を何も考えずに買うことではない。
まず、「そもそも、投資するのは日本株でいいのか?」「世界の金融商品の中で、いま何が割安なのか?」というところから入る必要がある。
投資は下調べがすんごい大変なんである。

「投資」は自分ルールを守ることが必要

「割安なものを買う」という考え方なら、入口と出口、想定外の動きをしたときの撤退シナリオを決めるのも簡単だ。

入口は「○円になったら割安だから買う」、出口は「○円は適正価格だから売る」。 買った後の値動きを何パターンか予想し、「買値の○%までの下落は想定内、○%を超えたら損切りして一旦撤退。値動きを観察し、落ち着いたら再度入るか検討」などシナリオを立て、絶対に守る

私が思う「投資」に向いていない人

私が思う、「投資」に向いていない人は、

  • 自分で決めたルールを守れない人
  • 「想定外のラッキー」を忘れることができない人

「想定外のラッキー」とは、「マイナス○%で損切り予定だったが、損切りしなかったら値が戻った」とか、「予定通りにプラス○%で売ったら、その後まだまだ上がって悔しかった」などだ。

こうしたラッキーは、ルールが妥当かを再度見直した後は、忘れる必要がある。

特に損切りは、「今回たまたま助かった」だけで、「こないだルールを破ったら助かったから、今回も大丈夫」などと思い始めたら、どんどん塩漬け株ができていく。

……えらそうなことを言っているが、私自身は投資に向いていない。しょぼーん

VALU(バリュ)とは何か

さて、いま話題の「VALU」とは何か。

いまからVALU(バリュ)を始めようかな? と思っている人のためのユーザーガイド(←これを読めば大体分かる)によると、VALUは「個人の人気をあたかも株式のようにトレードするサービス」である。

VALUを発行する場合、Twitterなどのフォロワー数などを元に、その人の人気度をVALU運営が「○○ビットコイン」と値づけする。

ビットコインとは仮想通貨の一つであり、円をビットコインに交換しないと売買できない。

くわしくは、鈴木みそ氏のマンガ↓をどうぞ
VALUおっかなびっくりはじめました
VALUでえらいことになりました

YouTuberヒカル氏のVALU売り逃げ騒動

8月14日に、人気YouTuberのヒカル氏が、優待などの還元を期待させるツイートを投稿した。
VALU高騰後に、ヒカル氏が全VALUを一気に売ったため価格は暴落した。

個人価値売買VALU、ユーチューバー「売り逃げ」騒動|日本経済新聞

この記事によると、ヒカル氏の関係者であるネクストステージ顧問の井川氏が、朝一番(ヒカル氏がVALUを売る前)で手持ちの全VALUを売りに出していたことが分かる。

これらは、株取引だったら「相場操縦行為」「インサイダー取引」となり犯罪だ。

しかし、VALUは有価証券などの金融商品ではないので、金融商品取引法などによる消費者保護の対象外になる(いまのところ)。

つまり、今回のような、ヒカル氏たちが得したぶん一般人が損する事件があっても、法律の保護を受けられない(詐欺罪は適用されるが立証が難しい)。

保護がない分、VALUで売買するなら、株取引やFXよりもなお、自分を守る知識や経験が必要になってくる。

はてなブロガーとVALU

さて、はてなブロガーには、VALUで100万単位で儲けている人たち、今回の騒動で大損した人たちがいる。

今回の騒動で、彼らのブログやtwitterを読んだところ、「この人たちは、VALU以外の投資経験がほとんどないのでは?」と思った。

たとえば、前述した井川氏が、朝一番で全VALUを売ったこと。

関係者が全売りしたときは、「売り」の選択肢しかない。
こういう情報が取引時に分かること自体、VALUのシステムに驚いた(いくらでも儲けられるから)。

だけど、ヒカル氏が全VALUを売ったときさえ、疑問を抱かずに買い増ししていたはてなブロガーたちがいた。

また、今回の騒動は、私には致命的に思える。
VALUのシステムは、穴だらけで参加者の善意が試されるシステムだが、VALU運営は根本的な見直しを考えていないようだ。
日本経済新聞で報道されたことから、今までVALUを知らなかった仕手筋(株価操作をする集団)なども参戦してくるだろう。

私だったら、一旦離れて様子を見る。
だけど、危機感を抱いているはてなブロガーは少ないようだ。


はてなブログには、ふつうにブログをやっている、投資とか何も知らない人たちもいる。

はてなブログを始めて、友だちがほしければ、VALUをやっている人たちのグループに大抵は入る(最大グループで目立つから)。
そこではだれも、VALUを否定する人はいない。
「わたし何も知らなかったけど、みんな簡単に儲けてる! 私もVALUやる!」となるだろう。

こわいのは、VALUを勧める当人が、リスクをあまり分かっていないまま勧めていることだ。

もしくは、分かっているけど、VALUを買ってもらうことやビットコインの高額なアフィリエイト料で儲けたいから、あえて勧めているか。

小銭をエサに大金をだましとられる人

はてなブログがVALUへの入口になるのは問題だと思うので、VALUの売買を勧められない理由を書いておく。

VALUをおすすめできない理由

まず、VALUは有価証券ではないので、金融商品取引法などによる消費者保護がないこと

それ以外は、

  • そのため、法の抜け穴を突いて、素人でも相場操縦が簡単にできる(今回で実証済)
  • さらに、有名人と組んだ仕手筋が入り込んでくることが予想される
  • 法だけではなく、システムにもこれといった規制がなく、参加者の善意参加が前提で作られている
  • VALUを発行する側はノーリスク(匿名のFacebookアカウントでも発行でき、逃亡が可能←匿名はそもそもFacebookの規約違反)
  • どのVALUが信頼できるのか判断できない(今回のヒカル氏のように)
  • どのVALUが割安なのか判断できる指標がないので、自分ルールが決められない
  • 円をビットコインに換えたくない(現在高騰中なので高値で買うことになる)

私にとっては、信頼度や適正価格が判断できないものにお金を出すことは、「投資」ではなく「投機」、つまりギャンブルになる。
星ほどある投資の中から、VALUの売買を選ぶ理由がみあたらない。

「今この瞬間は儲かるのだから、やらないことこそリスク。バカになって踊るべき」と思う人は勝手にやればよい。
だが、必ず「ゼロになってもいいお金」で投機し、生活費や教育費などの貯金は使わないこと、は守った方がよいと思う。

なお、VALUの発行は、ほぼノーリスクハイハイリターンである。
しかし、現行の穴だらけのシステムで、「私のVALUを買ってください」とはとても言えない。

たとえば、「あなたは、110円でドル/円を買って111円で売りました。10万円儲かりました。その裏では、110円でドル/円を売って111円で買い戻し、10万円損した人がいます。その人の10万円が、あなたの財布に入ったのです」という話がある。
実際はこんなに単純ではないが、参加者全員が100%儲かる投資はない。

VALUは、他の投資よりも、そのことがはっきり感じられる投機だと思う。
実際に、ヒカル氏を信じた人たちのお金は、みんなヒカル氏の財布に入ってしまった。

自分がVALUを発行することで、買ってくれる人に(私の想定を超える)損をさせる可能性があることが、私には耐えられない。

「お前はそんなだから、はてなやBLOGOSで叩かれてるだけの儲からない負け組ブロガーなんだよ」と言われるだろうが、私はお金よりも信頼が大切なので、いつも読んでくれている読者さんにVALUを勧めることは、絶対にしない。

(VALUはクラウドファンディングと理念が近く、新しいチャレンジをしたい個人を寄付・応援する位置づけで、VALU運営も投機を禁止しているのに、マネーゲームの側面が目立ってきて、つけ入る人たちも増えてきたのは残念だ)

(↓寄稿したので、読んでくださいにゃ~)

www.onecareer.jp

おじさんおばさんという人生の下り坂でも、楽に生きるために